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液状樹脂シリーズ(装置)

高精度液状樹脂射出成形用計量・混合・吐出装置

写真1 DPH-40100 昨今の日本経済の状況を見ると、底離れが始まったと言われているが、一方では設備過剰対策論が出るなど、依然混迷状態と言って良いだろう。
そのような中で各企業は、製品、工法でいかに技術革新を進め、特色を出し、差別化することを真剣に討議されていることと思う。
山城精機製作所では、 液状樹脂射出成形機(以後LIM[Liquid Injection Molding Machine]機と言う)の先駆者として、液状樹脂扱いの各種装置を開発し、新しい用途開発、工法開発を提案している。
本装置は、液状樹脂扱いでもっとも基本的な原料を汲み出し、計量し、混合し、吐出する機能を用途に応じて組合わせて、LIM機やディスペンサーの上流で使用するものである。
本装置を使用して既存のプレス機や射出成形機を容易にLIM機に改造できるので、過剰設備を新分野に有効活用できる。
まず、液状樹脂の特徴、本装置の概要、応用を紹介したい。新分野を模索されている方々に参考になれば幸いである。



液状樹脂の特徴

図1 ペール(ドラム)ポンプフロー図

1, 常温で液状だから、可塑化にエネルギーを使わないので省エネ化できる。(加温して粘度を下げて加工することもある)

2, 粘度が低い樹脂は、注入圧力が低く、機械金型を軽構造にできる。液状樹脂専用機を使えば、容量の割に機械の価格を安くできる。

3, 粘度が低い樹脂を真空下の金型、容器で注入すれば、インサート品の微細隙間、アンダカットへも含浸させることができる。

4, 低粘度の樹脂でインサート物の変形、破壊が少ない。微細な半導体などの封止に適している。

5, 物性、粘度、速硬化速度、ゴム弾性など各種の原料が市販されるようになった。

6, 着色剤の添加が容易に、均一に行える。

7, 低粘度の樹脂は、液面上昇型の充填となるので、ランナー、ゲート、エアベントなどの工夫が必要で、金型構造が特殊になる。

8, 低粘度の樹脂は、輸送中にエアの混入があり、使用前に真空脱泡が必要となる。




本装置の概要と応用

1 材料供給装置および計量装置

写真2 カートリッジ仕様 写真3 PP-150-L
写真2 カートリッジ仕様
写真3 PP-150-L

 材料供給装置は、原料容器をセットし、原料を汲み出す部分である。200Lドラム缶、100L半切ドラム缶、20Lペール缶、試作実験用のシリンジケース(300cc)を装填できるカートリッジ仕様などがある。
 100L半切ドラム仕様は、一部の部品を交換することにより、20Lペール缶にも簡単に対応できるようになっている。主剤(A液)用と硬化剤(B液)用の2台をペアで使用する。
 缶内の原料に予圧を加えながら往復ピストンポンプで原料を吸い上げるが、予圧、ポンプの駆動とも油圧式で動作が安定している。(小型のカートリッジ方式は空圧駆動)
 往復ピストンポンプは、AB液の混合比に応じてサイズを選択し、ストロークを同期して計量吐出する。AB液に粘度差があっても同期できる機能を持たせている。




2 混合装置

図2 ディスペンサーフロー図 写真4 PP-2550
写真4 PP-2550

 計量装置から吐出されたAB液は、混合装置(スタティックミキサー)に送られて混合される。混合装置は、計量吐出装置と直結するタイプ(ディスペンサーに使われる)(図2、写真4)と離れて成形機側に設けられるタイプ(LIM機に使われる)がある。(図3)

図3 高精度LIM機

 スタティックミキサーは材料の流れの分割を繰り返して混合を行う。分割混合方式において2液(又は3液)が同期してミキサーに供給されなければならない。
 射出成形機や定量吐出装置のように間欠サイクル運転を繰り返す装置では、毎回計量・吐出が繰り返されるので、毎回の流れの始まり時に同期がズレやすい。一旦同期がズレた部分の原料は混合できないので、確固たる技術的背景および実績のある構造を有するものでないと安心して使用できない。
 当社の混合装置は独自開発のプリミキシングボックス(同期弁)の効果によって十二分に機能を発揮し、1000台以上の実績を持っている。
 スタティックミキサーは21個の分割エレメンツを採用しているので、材料2液(または3液)を約200万分割混合し、非常に高精度の混合を実現している。
 市場の中には、ダイナミック方式を採用しているものもあるが、混合時の材料によるせん断摩擦熱の発生や、材料交換時のロスの増大、大吐出量対応のために設備が大型化するなどで、現場サイドにおけるメンテナンスや管理に、多くの問題を抱える設備と言える。
 当社のスタティックミキサー方式は、上記の問題を一気に解決すると同時に、ミキサー部のみを簡単に取り外せる構造なので、装置運転中断時など必要に応じてユニットを取り外し冷蔵保管することなどで、材料のロスを最小限度に抑えることができる。

3 吐出装置

写真5 高精度LIM機
写真5 高精度LIM機

 計量装置の吐出機能を流用する方式1と、高精度吐出量管理および吐出速度の微細コントロールを実現するため、ミキシング後の材料を計量吐出(射出)シリンダーを介して行う方式2がある。
 方式1は、計量・射出装置を保有する既存の射出成形機を活用し、LIM機にする場合や、吐出口先端にシャットオフノズルを設けて、ディスペンサーとして使用する場合などに適する。
 方式2は、当社の高精度LIM機(写真5)や高精度ロール注型機(US-シリーズ)などに採用している。
 電動サーボモータを採用する方式も開発済みである。



本装置の概要と応用

計量・混合・吐出装置を利用した事例を紹介したい。

1 LIMとは

図4 既存の設備へ組付け事例

 LIMとは、2液または3液(主材:硬化材:ピグメント材)の液状原料を定量計量し、混合し、金型内に射出注入して加熱硬化させるシステムを言う。液状シリコーンゴムの成形にもっとも普及している。
 従来のミラブルタイプのゴムは成形現場にてロール練りして独自のゴム生地を作り、熟成してから成形するが、LIM機で使用する材料は、材料メーカーにより、目的・用途に応じた特性を持つグレードが準備されており、ペール缶(20L)またはドラム缶(200L)の荷姿にて出荷される。
 ユーザは、材料を材料供給装置(ペールポンプまたはドラムポンプ)にセットするだけで、一般の射出成形機と同じ感覚で成形を始められる。図5がその工程フローである。

図5 従来型計量・射出・混合ユニット

 原料のノウハウ、前処理が不要なこと、フローが密閉系なので、異物の混入の恐れが無く清潔なこと、成形サイクルが速いことが特徴である。
 従来は図5にもあるように、材料供給部と一体化した圧送装置と計量装置の2つの構成になっている。
 この方式は当社が保有する特許のもと、LIM機として非常にシンプルであり、射出容量に対応する場合には、ABのシリンダー径もしくはストロークの変更だけで、任意に対応することができる特徴を持つ。
 しかし、高精度・薄肉・ノーバリ成形への要求と、材料の高粘度化への対応として、射出圧力の高圧化を実現し、同時に、計量精度の確保するために高精度LIM機が開発された。
 計量の精度は、圧縮性のある材料においては、容積と密度を同時に管理しなければならない。容積の管理は、吐出量を任意に設定する目的と計量位置精度を高める目的より、分解能の高いリニアエンコーダを計量ストロークの位置設定に採用している。密度の管理は、計量時の油圧シリンダーの背圧を油圧圧力制御弁で管理するか、または材料計量ピストンに加わる力を、ロードセルで検出して行う。
 計量時の位置設定、吐出(射出)時の速度・圧力の制御は、当社が独自にシステム開発した「SANTROL-5500(または3500)プロセス制御装置」にて高精度に管理することができる。最近では、より高精度の速度圧力制御のため、電動サーボ駆動機も開発されている。
写真6 シリコーンゴムのロール成形  研磨レスロール成形などのように、ジグ型などに速度・圧力コントロールをしながら材料を注入するLIM機がある。
 パイプ状のジグ型に軸シャフトとPFAフィルムを装填し、フィルムと軸シャフトの間にシリコーン材料を充填し、印刷機、プリンター、ファクシミリなどのロールを成形する方法である。(写真6)
 小型高特性を出すため、材料粘度の低粘度化、薄肉化などが進み、充填時の速度制御、圧力制御において高い精度でコントロールできる装置が要求されている。

   

2 ディスペンサーとは

 ディスペンサーとは、2液または3液(主材:硬化材:ピグメント材)の液状原料を定量計量し、混合し、定量吐出する装置である。一般に、開放容器内に吐出し、注入後の原料は容器ごと加熱炉などで硬化されるが、容器はそのまま製品の外装ケースとして使用されるか、硬化樹脂を取出して再使用する。  注入を真空雰囲気で行えば、インサート物や、容器のアンダカット部まで液を浸透させることができて信頼性の高い封止ができる。電子部品の封止などに広く使われている。  また、プラスチックフィルム上に定量吐出し、その後加熱プレスして、フィルムと接着、一体化して製品化する工法がある。この方式で製造される製品としては、携帯電話、リモコンなどのラバーコンタクトスイッチや放熱シートなどがある。ラバーコンタクトスイッチなど、キートップ部の多色化を要求される製品はコンプレッション法が主体であるが、計量・混合・吐出装置を必要色数準備し、ディスペンシングステージ、加熱プレスステージ、脱型取り出しステージなどに構成したロータリー型連続プレス機を利用することにより、量産性にすぐれた自動化も可能になる。


   

3 既存プレスの改造LIM機

 既存の射出成形機やトランスファマシンコンプレッションマシンをLIM機として活用する方法がある。
  材料の高速加硫という特徴を生かし、トランスファやコンプレッションではサイクル短縮に限界がある成形システムを、LIM化することによりより生産性のすぐれた設備に変更することができる。
  当社では、LIM機としていろいろなシリーズを開発しているが、LIM成形法を経験する意味でも、既存の射出成形機やトランスファマシン、コンプレッションマシンをまず流用し設備費用の削減提案したい。
  射出成形機を流用する場合には、ホッパーの代わりにスタティックミキサーユニットを直接取りつけ、スクリュデザイン・バレル温度制御(冷却)・シャットオフノズル構造などを考慮することにより、LIM機に変身させることができる。
  また、トランスファマシン、コンプレッションマシンの型締め部分を流用し、計量・混合・吐出装置とノズルタッチ装置を追加することにより、同様にLIM機にすることができる。
  当社では、成形品の精度、形状などにより、目的に合わせた計量・混合・吐出装置の企画提案をさせていただく体制を持っている。


   

その他の新しい応用

 写真7ダイビングマスク  LIM機の市場は高精度、ノーバリ化はいうまでもなく、異材質との複合成形、大容量成形品などの需要が高まりつつある。
  異材質複合成形においては、これまで事前にプライマリー(接着材コーティング)処理が必要であったエンジニアリングプラスチックスとの複合成形も、材料メーカーが新たに開発した材料を使用することにより、プライマリーのコーティング処理無しでの複合接着成形が可能になった。使用できるエンジニアリングプラスチックの範囲に多少制約はあるが、その範囲は広まりつつある。
  機能を重視した適材適所複合成形工法により、メガネパッド・カメラなどのアイフード・自動車用コネクターとワイヤーシールの一体成形品・ダイビングマスク・ダイヤライザーのキャップシール・ダイレクトイグニッションコイルのプラグブーツなどを含めて、非常に身近なものになりつつある。(写真7)

また、西欧市場では一般化しつつあるHVI(ハイヴォルテージインシュレータ、ポリマー碍子)などもこれから日本でも普及が始まり、大容量の液状射出成形機が要求されると思われる。
  大容量の液状射出成形機においては、いかに材料歩留まりを良くするかが重要である。今回紹介した計量・混合・吐出装置のように、装置がシンプルであり吐出量の大小を計量・吐出装置のポンプシリンダー径とストロークで任意に変更できる構造なので、大容量の成形品にも容易に対応できる。
  ちなみに20,000ccの大型LIM機を、ダイナミックス方式の射出成形機で行うとなると、約700オンスの成形機に相当するものとなり、使用電力料、設備費用も膨大になり、設備場所の制約や樹脂替え時に20,000cc以上の材料ロスを発生させることになる。
  当社のスタティックミキサー方式のLIM機ならば、必要な型締め装置と専用LIM射出装置との組合せなので、設備もシンプルになり、材料ロスもダイナミックス方式に比べて約50分の1から40分の1に抑えることができる。


☆☆☆

 今回はシリコーン材料を主にした、2液(または3液)の計量・混合・吐出装置と、この装置を基本にした応用展開を紹介したが、「流して、固めて、形にする」という当社のコンセプトと、液状材料用の各種装置を開発し続ける技術をもとに、1液性のエポキシLIM機、加圧ゲル化装置、液状ウレタン材料のLIM機など、市場のニーズに応えた商品開発も積極的に進めている。
  液状の材料についての装置の開発および相談など、当社営業部に問い合わせ頂ければ、お役に立てる提案を提供させて頂くことができると思う。
 トランスファー金型圧縮成形用金型やLIM(液状シリコーンゴム)用の金型など熱硬化性金型についても約35年間の多くの実績を持っておりますので、ご相談下さい。



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