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インサート成形の自動化

精密インサート射出成形に見る自動化システム

はじめに
 インサート成形とは、複数の部品を集約して、部品点数を削減し、組立てを合理化することに貢献するだけでなく、複合化で部品機能を上げてコスト/機能を下げる工法として、今後もますます普及することが期待される。
 当社では、インサート成形を「射出成形によって、サブアッシィ部品を組立てる工程である」と定義して、1982年に「インジェクト・アッシィ」を提唱し、普及に努めてきた。
 インサート成形の自動化は、1970年頃から始まり、第一次石油ショック前の狂乱物価時代の人件費急騰を契機に普及し、1980年後から急速に増加した。
 本稿では、インサート成形(アウトサート成形を含む)の効用と自動化システムの仕組みを紹介したい。

Key Words

インジェクト・アッシィ  

インサート、アウトサート成形は、射出成形によって複数の部品を組立てる工程であると定義した言葉で、山城精機製作所の登録商標になっている。

MIPG  

Molded In Placed Gasketの略で、射出成形で所定位置にガスケット(固定シール)を形成したもの。組立の自動化を容易にする。

1.インサート成形の効用


  1. 樹脂と金属などの特性を相互補完して、より優れた特性の複合機構部品をつくる。
    特に、金属の剛性、局部的強度、導電性と樹脂の成形性、絶縁性を組合せた部品づくりは、比類なきコストメリットをもたらしている。
    樹脂と金属の接合を確実にするには、金属側のアンダーカットなどの拘束形状と樹脂側の固化収縮を利用して行うが、逆に金属の平滑内径部に樹脂を射出し、収縮を利用すると、回転、往復の摺動構造が可能になる。
  2. 剛体部品にエラストマー、LIMなどの柔軟材を被覆成形することで、感触性、多色化、見映えを向上して、付加価値を高める。
  3. 組立前に部品を集約して、部品点数を削減し、組立工程を合理化し、生産性を向上する。
    主架体部品を成形する時間内で並行的にインサートして、成形時間をほとんど延長せずに、複数部品を組立ててしまい、最終組立工程のロボットの台数を減らす事例も増えている。
  4. ゴムパッキンのように柔軟な部品はハンドリングが難しく、自動組立するのが困難だが、事前に剛体部品にエラストマー又は液状ゴム(LIM)をアウトサート成形で取付けることは自動化が容易である。これでモールデッド・イン・プレイスド・ガスケット(MIPG)として目的を果たせる。
  5. 部品を集約したり、組立工程内又は前工程で生産すれば、在庫管理を容易にして、生産管理のレベルを上げる。
    しかし、これを実現するには、射出工程の圧力、速度、温度などの安定性、信頼性が必要となる。
  6. 成形後に金属部品を圧入するのに比べて、インサート成形では金属部品のピッチを狭められ、部品をコンパクト化できる。また、金属と樹脂の接合の信頼性、耐久性も優れるだけでなく、圧入困難な立体形状も可能である。
    一方、インサート成形品は、インサート物のバラツキ、装てん隙間による移動、バリ、インサート物の変形、スプリングバックなどの影響を受けるので、部品の寸法精度は、それらをわきまえねばならない。
    また、ロータリテーブル成形機インサート作業を成形と並行に行うために、上型1個と下型複数個の組合せによる成形では、金型の組合せの影響も受ける。特に、パーティングラインが複雑な曲面の場合、上下複数の組合せは難しい。

2.自動インサート成形の仕組み


 自動インサート成形で、インサート物は以下に述べるような方法で自動的に金型内に供給される。また、一部人手が介在して置中子を利用して供給されることもある。
 なお、インサート成形縦型成形機で行われることが多いが、その理由は、

  1. 金型が上下方向に開閉し、水平な金型上面にインサート物を装てんしやすいこと
  2. 型締装置の周辺が開放しているので、インサート装てん装置や次工程への移送装置などの設置が容易にできること
  3. ロータリテーブルシャトルテーブルなど、インサート成形に便利な装置を設置しやすいこと
    である。

(1)フープ供給

 金属薄板の長尺帯状材をプレス加工したものをリールに巻取り、フープとして長尺のまま間欠的に供給するものである。インサート物は金属に限らず、繊維製品、紙製品なども使われる。
 帯板材にプレスで穴を設けて、それを金型のピンで拾って精度良く位置決めをして型締めする。
 インサート物の整列、姿勢制御、位置決めが容易に行える非常に合理的な方法である。
 供給装置の間欠ストロークは、位置センサで任意に設定して汎用性を高めたものもある。
 フープ材は平板状で金型面に設置することが多いが、平板を直角に立てて金型に掘り込まれた狭い溝に装てんされることもある。また、帯板を複数条、一度に送る場合もある。(図1)
図1多条フープ供給の事例

 成形後、形状が平板状のものは、長尺帯板のまま再びリールに巻取り、組立工程に供給され、組立直前で切断して使われることが多いが、厚さ方向に突起が形成されたものは巻取るのが困難なので、成形後、切断、分離して、個片としてパレットなどに整列されて、組立工程に供給される。

(2)個片供給

 機械加工されたピン類、ネジ類、ナット類、あるいは立体的なプレス品などの個片状のインサート物は、パーツフィーダや振込み装置によって整列して、1個づつ分離してロボットで金型内に供給する。ロボットは、動きをプログラムできるスカラ型やリニア型、簡易な固定サイクルのピックアンドプレイス型などが使われる。形状や生産数に応じて、1個づつ金型に供給するか、分離後複数個を金型のキャビティのピッチに並べて、同時にグリップして金型に供給する。
 金型又はロボット側に、装てんが正常に行われることを検出するセンサを備えて、何度か試みて正常に装てんできない時は、そのワークを廃棄し、次のワークを装てんする。
 自動化装置の信頼性、稼働率は、インサート物の精度の管理と整列装置の信頼性で決まるが、一般に、振動でインサート物を整列、供給するパーツフィーダの信頼度が低い。
 従って、稼動率を考えた場合、監視者が立合いながらの自動運転と無人運転の間には、まだ大きな差があることは否めない。
 成形後、ロボットでインサート成形品を金型から取出し、パレットに整列装てんし、更に装てん済みパレットをスタッカで積み重ねて、次工程に送ることも行われる。(図2、写真1)

図2成形品をパレットに装てんする例
写真1 5種類の個片インサートを供給する事例

(3)フープ供給と個片供給の組合せ

 最近、インサート成形品が複雑精巧化して、フープ送りされる帯板状のインサート物と個片で供給されるインサート物を、同時に組合せる場合も多くなった。(図3)
図3フープ供給と個変供給の組合せ図3フープ供給と個変供給の組合せ



(4)金属プレスとの連動

 金属プレスを成形機とオンラインに設置して、プレス直後のワークを金型に供給する。
 フープで供給する場合とロボットでグリップして供給することがあるが、いずれもプレス直後の形状、位置が生かされ、姿勢制御の必要がないので、複雑な形状のものが可能になる。プレス品に油などの付着がないようにしなければならない。(写真2)

(5)置中子(ルースコア)を利用する方法

 電線や細線などのように柔軟で取扱いにくいもの、あるいは立体的に複雑な形状のものは、自動的に整列することが困難なので、人手で事前にオフラインで複数の置中子に装てんしておき、それらが順次ロボットで金型内に装てんされる。成形後、置中子は回収され、繰返し使用される。
 いわば、インサートの装てんに半分人手が介在するが、これによって、オンラインでは自動化が困難なものでも、半自動化が可能になるので、うまく使えば、メリットは大きい。(図4)
図4置中子を利用する事例

(6)パーツフィードモールダー

 射出成形機を、自由形状の部品を供給する「パーツフィーダ」と考えると、剛体部品の一部に樹脂、ゴムをアウトサート成形できる可能性が出てくる。
 上述のMIPGもその一例であるが、金型を使わず、隙間充てん接着や樹脂リベットする用途にも使われる。

(7)オンモールドアッセンブリング

 金属部品や樹脂のインサート成形品を含み、ファミリー取りした成形品と、追加部品を金型の上でロボットで組立てると、可動部を持った精巧な組立品も完成する。
 成形直後の金型上の成形品は、姿勢、位置が確定しているので、合理的に組立に利用できる。成形サイクル時間と組立時間をほぼ一致させて採用すれば有効である。(図5)
図5オンモールドアセンブリング


3.インサート自動化を成功させるための注意点


 最後に、インサート自動化システムを成功させるために注意すべき点を挙げたい。
 インサート自動化システムは成形機、金型自動化装置制御装置の機能の分担、組合せの良否、システム選択によって、コストが大きく変わるだけでなく、信頼性、稼働率が決まる。
 例えば、ある作動を成形機で行うか、金型で行うか、自動化装置で行うか、最適な選択はケースバイケースで変わってくる。従って、それらの要素を一貫して設計製作しているメーカーが強い。
 特に、システム全体を統括制御するシーケンスプロセスコントローラは、システムの細かい操作性と重複、並行動作の効率を高めるために重要となる。
 また、経験的な要素が多いので、多くの実績を有するメーカーは、成形品やインサート物について、機能を損なわずに形状変更も含めた提案力を持っている。可能な限り、それらを討議することで、システムの信頼性、稼働率を確実に上げることができる。
 最近、多品種少量生産が多くなり、金型のコスト負担を減らすために、少数キャビティ取りの金型が要求され、その分、稼働時間の延長が必要になって、インサートの自動化装置も次のような対応が進んでいる。


  1. 成形機が高速化している。テーブル径1300mm以下のロータリテーブルの180度反転インデックス装置では、機構的に約1secでショックレスにインデックスする。
  2. ロボットは、従来のスカラ型に代わって、低価格、高速型のリニア型の採用が多くなった。また、ロボットのグリップ部を多機能にして、一つの移動工程を利用して複数の作業を行わせるようになった。
  3. 金型コストを下げるために、まず、上下各1個の普通の金型でスタートし、量産が本格化してから、下型を増やすことも多くなった。初期の成形機は、下型引出型シャトルテーブルを使い、成形品取出し、インサート時間を短縮する工夫が進んでいる。この方式は、段取り(金型交換、成形条件の交換インサート整列装置の交換、、ロボットのグリップ、シーケンスの交換など)を効率的に行えるようにして、多品種少量生産のインサート自動化に採用されている。

ISO