高速加工技術について
1998年11月10日 埼玉県工業技術センター 野口 清隆
- 1.高速加工とは
- 「切削工具を高速回転させ、それに応じて高い送り速度で切削を行うことにより、加工の高能率化を図ろうとするもの」
- 2.高速加工の必要性
- 金型の形状は一般的に自由曲面を有し、その加工にはボールエンドミルが使用される。ボールエンドミル加工では、ピックフィードPと工具半径Rにより、P2/8Rで表される凹凸が残る。これを小さくするためには、工具半径を大きくするか、ピックフィードを小さくすることになる。工具半径を大きくすると凹部の加工に支障をきたすため、実際はピックフィードを小さくして加工することになり、加工時間が増大する。これを解消するためには工具を高速で回転させて、それに応じた高い送り速度で切削を行えばいいわけであり、高速加工の必要性が生じる。
- 3.高速加工の背景
- アルミ合金のような軟質の金属の切削では、以前より広く活用されている。近年の高速加工機械の開発や工具の技術革新により、従来、放電加工で行われていた金型材(焼入鋼)の加工にも適用できるようになった。
- 4.高速加工の利点
-
- 加工時間短縮(高能率加工、工程削減)
- 工具本数削減
- 表面粗さの向上(微小ピックフィード)
- 形状精度の向上(切削熱小)
- 切削抵抗の減少
- 高硬度材加工
- 難削材加工(ステンレス、発泡スチレン、ゴム等)
- 難形状加工(微細穴、薄肉形状等)
- クリーンな環境(ドライ切削)
- 5.高速加工を実現するための要素技術
-
5-1 加工機
5-1-1 高速回転主軸
毎分数万回転で回転するもの。
軸受けの方式
- ボールベアリング軸受け方式(セラミックボール)
- 空気静圧軸受け方式
- 磁気軸受け方式
5-1-2 高速、高加減速送り
実際の加工では、切削経路が変化する度に、停止と移動を繰り返すため、速度よりも加速度の方が重要。送り速度10m/min以上。送り加速度1G程度。
送り機構の方式
5-1-3 主軸と工具の接続、保持(ツーリング)
主軸が高速回転すると遠心力の影響で主軸テーパ部が変形することにより、接続状態が不安定になる(剛性低下、振れ)、Z軸方向に工具が引き込まれる(精度低下)等の問題が生じる。
ツーリングの方式
- 2面拘束方式
- 主軸に超精密級のコレットを内蔵した方式
- 焼きばめ方式
-
5-2 工具
5-2-1 工具材種と切削条件
cf:送り速度 0.05 〜 0.2mm(1刃当たり)
| 工具材種 | 周速[m/min] | 備考 |
| ハイス(SKH) | 〜50 | 対象材種:NAK55相当 |
| 超硬(TiN) | 70〜150 | HRC40程度 |
| 超硬(TiAlN) | 100〜350 | |
| サーメット | 400〜700 | |
| CBN | 800〜1200 | |
5-2-2 工具デザイン
刃先のチッピング破損を防止するため、すくい角を負にする。また、小径の工具で剛性を確保するため、チップポケットを小さくして、溝底径を大きくとる。切れ刃長は可能な限り小さくする。
5-3 ツールパスの生成
- パス計算速度高速化、NC内蔵メモリ大容量化、プログラム転送速度高速化
(小径エンドミルで、切り込みを小さくした加工法であり、NCデータ量が膨大であるため)
- ダウンカット、工具負荷一定
- アプローチ方法
(高速加工の際にはアプローチの時が最もダメージを受けやすい)
- パスの確認
山城精機の会社紹介、製品案内サイトへ行けます。
高速加工研究部会の活動について
NC研究会の思い出と今後
高速加工研究部会1年経過に当たって
高速加工研究部会報告
高速加工技術データ
Copyright © 1998 SANJO SEIKI CO., LTD.
http://www.sanjo.co.jp/nc/