黒獅子山と生雲渓、阿武郡阿東町


 “阿武川の水澄むほとり、黒獅子を朝夕仰ぐ”この詩は、生雲中学校の校歌の出だしですが、生雲を語るうえで、この二つは、必ず話しをせねばならない生雲のシンボルであります。
 黒獅子山(標高716.6m)は、その名の通り見る方向により獅子が寝ている姿に、似ていることから、つけられたと言います。山頂からは遠く日本海も望めます。昔はこの山の景観で四季を感じ、阿武川の支流である生雲川は、正に、生活の全てであったように思います。生活用水であり、農業用水であり、魚も豊富で我々が小さい頃は、朝から晩まで、鮎や鰻、つ蟹などを、一日中追いかけたものである。
 そんなにきれいだった川も、ここ近年は何処も同じであるが生活排水に汚れて、川に入ることさえ、ためらわれる現状となっていた。然し、最近十年で、河川工事、圃場整備も進み、環境問題も叫ばれるようになり少しづつではあるが、昔の姿を取り戻しつつあります。独り一人ひとりの意識が大事なことです。
 この生雲川の下流に中国電力の、生雲ダムがあります。そして、このダムより下流が生雲渓と呼ばれる渓谷があることを、皆さんは、あまり御存知ないと思います。人に知られていないだけに、訪れる人も少ないのが、幸して、昔の川の姿をそのまま残しており、我々の年代からみると、大変なつかしい気持ちにさせてくれる川が、そこに有ります。川添えには、中国自然遊歩道が整備されており、暗がり淵とか、飛渡の滝とか自然の景観も数多く見られ、生雲ダムから阿武川本流の長門峡まで約2kmの間、目を楽しませてくれます。特に春の新緑、秋の紅葉はもちろん夏の涼を求めての、ハイキングや散策には、もってこいのところではないでしょうか。
 阿東町に長門峡あり長門峡に生雲渓有りなつかしい、昔の川の風情を訪ねてみませんか?

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